うん。僕でも食べられる味だ。っていうより、美味いよ。これ
AAコピペテスト:出典(http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1094374783/-100)
|__ __
| ` く/ >>美味しそうなの見ーっけ☆
|ノ人)〉 〃〃∩ _, ,_
|゚ヮ゚イl ⊂⌒ ( ゚д゚) ?
| `ヽ_つ ⊂ノ
|く/
|)〉 ∩ _, ,_
|゚イl二フ⊂⌒ ( ゚Д゚ ) !
| `ヽ_つ ⊂ノ
| _, ,_
|⌒ ( `Д´) )))
|`ヽ_つヽ_つ ))
|, ,_
|Д´) ))
|ヽ_つ )
|
| イヤアァァッ ───── !!!
備中楪城(びっちゅうゆずりはじょう)
さてその上で、過日にも書きましたルーツとやらですが、本日はよく言われる方のルーツ−−先祖の話でもしようかと思います。ちょうど、「なんでタイトルが備中楪城なのか?」と質問が匿名であった次第でもありますし。
さて私の三輪の名は実は、母方の曾祖母の名字です。
この三輪家は岡山の神代の地に家がありまして、現在は11代目まで続いております。
でその三輪家が神代に居を構えたのは亨保7年(1722年〉の事。現在の阿哲郡哲多町宮河内は川本の三輪家より分家の形で参ったとの事。
でこの川本の三輪家が、なかなかに面白い。
系図書によると、戦国時代に備中松山(現在の高梁市)を中心に勢力を誇った三村氏と言うのがありまして、この一族の三村元範(楪城城主)が毛利勢に敗れ、当時6才であったその一子元丸が乳母らと共に逃走し、川本で隠遁生活を始めたのが初代だと言うのです。
そして毛利方の追討を避けるために、母方の姓の三輪姓を名乗った、と。
以降、数代に渡って毛利氏の追討を避けるために川本に隠れ潜んだのだそうで。
つまり、川本の三輪家とは三村氏と言う戦国武将の生き残りの家である訳ですな。
この件を知るまで、はっきり言って平氏の落人だの隠れ潜んで再起の時を待つ戦国大名の末裔だのは、小説の中でのみ触れるお話−−別世界の物語でありました。それが知ってみればそう言う経歴な訳で……。
何とも言えんなぁ、と。
そしてこの三村元範の居城、備中楪城がこのblogの由来となった訳です。
ちなみにこの三村氏。はっきり言ってマイナー大名に分類されますが、調べてみるとそこそこに活躍もしてたりします。
その発祥は常陸国新治郡三村郷−−この里の名が名字になった訳ですね。その後、信濃国の東筑摩郡洗馬郷を経て、鎌倉時代に備中成羽の地頭職に補任されて移住しました。
その後、勢力を徐々に拡大させ、『太平記』には元弘の乱に際して後醍醐天皇のもとへ馳せ参じた諸将(新見・成合・那須・三村)の1つとして数えられています。また、九州で再起した足利尊氏に三村能実が従ったとの記述もあるようです。
時代が下って14世紀頃には三村信濃守が成羽荘を横領、続いて水内北荘を掌中とし、16世紀初頭には大内勢の一員として尼子氏と戦っています。*1尼子氏の備中進出を阻んだのは、三村氏の功が大きかったようですね。
以降、三村氏は大内氏の中で勢力を拡大する毛利氏に同調。その援護射撃も兼ねる形で、備中統一を目指し始めます。そして1561年には松山城の庄氏を打ち倒し、出雲へと敗走せしめる事によって実質的に備中を支配。その後、勢いに乗って備前に勢力を拡大しようとしますが、そこで宇喜多直家配下である遠藤又次郎により当時の当主である三村家親*2が暗殺されると言う事件が起きました。
この暗殺は、一説には日本初の鉄砲を使用した暗殺であると言われています。
いずれにせよ、この時期が三村氏の絶頂だったようで、一時は岡山のほとんどの地域を勢力下に置いた三村氏は、急速に凋落して行くのです。
三村家親の跡を継いだ三村元親*3は、復讐に燃えて宇喜多氏を攻撃しますが、その状況はひいき目に見ても一進一退。何度か追い詰める局面もありましたが、大局的には功を奏しませんでした。そしてそうこうしている間に、時代はいつの間にか変わっていたのです。*4
中国地方が未だ諸勢力の争いに明け暮れている中、京を中心とした地域はすでに織田信長の勢力下にありました。そして織田信長はついにその矛先を中国地方へと向けたのです。
そんな中、毛利氏は終わらぬ宇喜多氏との争いに見切りをつけ、講和を計ります。織田と戦うためには、宇喜多氏と戦っている余裕はなかったのです。
しかし三村氏としてはこの講和は納得できる物ではありません。父を殺された三村元親はこれに反発し、逆に織田信長と同盟を結びました。そして道理や情はどうあれ、これが三村氏の命取りとなったのです。
三村氏は結果として毛利、宇喜多の両面攻撃に遭い、織田氏に救援を求めるも時は1575年−−すなわち長篠の戦いの頃。おまけに本願寺との決戦も同年であり、とても救援の余裕はありませんでした。*5
そして猿掛城や鶴首城、楪城などの城を相次いで失って行き、最後には松山城、鬼身山城を失って三村氏は滅亡を遂げる事となります。*6
この際、松山城への撤退戦において三村元範は戦死しています。生年不詳なため、その享年も不明ですが、すぐ上の兄である三村実親が1556年生まれである事を考えると、どんなに年かさでも数え年19歳であった事でしょう。*7
さて、この三村元範の室が、戸構城主加賀守三輪半左衛門の娘であったとされます。この半左衛門の系譜の方はまた日を改めて書くとしましょう。
*1:大内勢についたのは。大内義興の元にいた足利義尹が上洛を計画した際のことらしい。足利の元に参じた武将の中に「三村備中守宗親」の名がある。
*2:この人が楪城城主三村元範の父親に当たる。
*3:三村元範の兄。元範は三男に当たる。ただし異説もあり、その係累ははっきりしない。もしかすると弟の可能性もある。
*5:どうも宇喜多氏の主家である浦上氏と織田氏の同盟があったため、こちらで対処できるだろうと踏んでいた節もあります。
*6:なお、元親には当時8歳の勝法師という子が合ったそうですが、これは小早川隆景によってその利発さを警戒され、殺されたそうで。
*7:ちなみにそれから考えると、私の先祖である元丸は、三村元範の数え年13歳以前の子供という事になります。……この時代珍しくありませんが、思わず(;´Д`)ハァハァできる年齢でつね。
二日空いて
元よりノーマルな日記を書く習慣などないので、日にちが空くとすぐに忘れそうになる今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
私はようやく懸案の原稿が上がりつつあり、何とか平常スケジュールへの復帰を模索する段階に入りました。とは言え、11月に入ったら祭祀の予定がある上に現状だとその翌日には東京行きの気配。平常スケジュールなのはもしかして、たかだか5日間くらいしかないんじゃあ……、と恐怖しております。
こいつ、十日前の日記書いてやがるぜ!
と言う訳で、過去日記ねつ造計画スタート第一弾。
果たしてちゃんと上手く行くのか、さぁ、お立ち会いってな物である。
そもそも、過去の日記を書くという時点で日記ではないような気もするが、ここは「ダンジョンMAPは全部埋めないと気が済まない」病*1の進行の一形態として、やれる所までやってみようという運びになった。
この文章に気づいた方には、自動的に「アラサガシ」の趣味*2が差し上げられる。
いやだと言って拒否しようが、泣いて喚こうが、天帝に直訴しようが無駄である。大羅天の九天応元雷声普化天尊の神勅により、天数として定められるのだ。
天意神通 如意神変 黄道惑来 往事容返 急々如律令! 勅! 勅! 勅!
つー訳で、十日前だが。
私、何してたっけ?
……。
……。
……。
おお、おお、そうだった。
フィジカルの日記の方を見りゃいいんだ。
さて、それによると、仕事で苦しんでネタ出しの儀式を行っていたとある。
具体的には風呂にうだる*3まで入って、頭フラフラの状態でネタを絞ってた訳だ。
うーみ、あまり面白くないわ。
何でこの日に日記を書いてないか判明した所で終わっておくとしよう。
ピーキー童話
はーい、みなさん昨日はたくさんゲストやマローダーやジャームやMISTやトループやクラードやスタンドアロンやクリーチャー*1やらを血祭りに上げてきましたかぁ?
私は生憎、そうではありませんが、皆様は楽しいゲームを遊ばれた事と思います−−仕事が終わるまではゲームお預けですからね☆
と言う訳で、せめて仕事の文章をまとめる合間の手すさびと、ゲームができない事の代償行動として、過日リクエストのあったピーキーキャラのアルバム展示を続けたいと思います。
例によって新しい順、思いつくままで行ってみましょう。
三角司郎。スナイパー/メディック。*2
国境なき医師団を経て、マルタ騎士団(聖ヨハネ騎士団)へと参加。医師として各国の紛争地域を転々とし、時に銃を取ってテロリストとの戦いを繰り広げた経歴を持つ。その後、オブザーバーとしてワイズに出向。ワイズよりの派遣要員としてガンドッグの活動に従事している。
M2大型機関銃やバレットM82A1、、MINIMI、RPGなどの重火器をメインで操り、「戦車との戦いは慣れてる」と口にする火力信奉者。プレイ中の名台詞*3は、ブラックマーケットの顔役を説得する時に用いた「銃声は何よりも雄弁な言語だ」と言う一言。なお、そのシーンでMINIMIを乱射していたのは内緒だ(笑)。
-
- 蛇足的な補足
実はコイツは下記のソニア同様、私のエターナル・チャンピオン思想による使い回しキャラクターでもある。とは言え、使用実績は「真・女神転生ⅡTRPG誕生編」と「WoD」、「ガンドッグ」の3回。
メガテンで最初に作った時は、第一技能が「医療」であったため、医者として設定された。後に信仰深いカソリックでありながら、メシア教会のそれに共感できない自身に悩み、それを振り払うために国境なき医師団に参加。理屈ではない、人を救うと言う事の根幹を実感しようとしたのである。
で、「ガンドッグ」ではその部分までの設定を持ってきて、キャラクターを再構築した訳だ。つまり彼が言う「戦車との戦いは慣れてる」とは、メガテン当時のプレイメモリーなのである。
忘れてるだろうとの指摘を受けたキャラ一号。アリアンロッドのメイジ/モンク。晶英山浄玻璃洞門下、道号を白明晶道真君、名を魯誠(ルーチェン)と言うヒューリン相当の仙人である。本性は炎熱を司る炎虎であり、数百年、大道を走る雷火の気が凝った事により生を受けた。
まぁ、くどくどしく言ってるが、要は封神演義めいた仙人である。*4
近接では《トリプルブロウ》、遠隔では《ファイアボルト》−−火行道術と称する−−によって、遠近の距離に関係なく戦えるそつのないキャラクター。つまり逆に言えば、どの距離でも決定力に欠けると言う問題点を抱えている訳だ。
原則として、私によくある「これをやりたい」*5と言う欲望だけが満たされた結果、他がおざなりになるという典型例で、補助戦力としては機能する物の、一線級とは少々言い難い。
フェリシア・ジェラルダイン。オラクル/ブラックメイジ/エージェント。
「ブライト・ナイト」キャンペーンでPC2として使用したキャラクター。当時すでに「アメージング・ワールド」が発売されていたため、自分が投稿したヴァナヘイムの設定を使わせて貰い、作成したキャラクター。
金にがめつい関西系強欲娘。無論、眼鏡をかけていて髪は三つ編み。バスト大きめ。
“海ガラス”ハンティのタワナアンナになることを夢見る、おじさんコンプレックス少女。一話でPC1ではなく、その父親とフラグを立てようとした事からしてもうおかしい。
少々の理屈は、金儲けと海洋民族特有の「海に出れば、大した事じゃないわ」で押し通す困ったキャラである。
エージェントSSS所収の、魔法攻撃のダメージを増強するドラッグと《VHS−XXアイスロッド》などを駆使し、初手から5D6の氷魔法を飛ばしてくる。無論、すでにお分かりの事と思うが、それ以外の能はないため防御は紙のように薄い。
モットーは「氏より育ち」。
GFコンでも使用し、GMに多大な迷惑をかけてしまった。反省。
- シャドウラン3rd
忘れてるだろうとの指摘を受けたキャラ2号。以前にアリアンロッドのキャラクターとしても紹介した、ソニア・トゥルーフェイスである。
私はエターナル・チャンピオンな人なので、同じ名前の同じ人格−−環境によって差異はかなりあるが−−のPCを作りたがる癖があるのである。彼女も最近はよく作ってる類のキャラクターで、使用頻度は高い。
彼女の実家トゥルーフェイス家は、もともとグラーシーザと言うノルウェーのヴァイキングであり、そのスコットランドにおける分家として成立した歴史を持つ。その後、1800年代に移民としてテキサスの地を踏んだ彼女の先祖は、いわゆるプア・ホワイトとしてテキサスにて牧場を経営。南北戦争時には南軍の一員として戦場に立った。
すなわち彼女には、ヴァイキングとスコットランド人と南部人の血統が流れており、その血の裔としての誇りを胸に抱いている。
その誇りを表すように、彼女の武器は身長程もある巨大なクレイモアであり、これを手に軍用のヘビー・コンバットアーマーを身に鎧ってシャドウランに従事する。その上、彼女はフィジカル・アデプトであり、カウンター・ストライクのアデプト能力によって、難攻不落の反撃要塞としてドラゴンとさえ交戦しうる戦闘能力を誇示し得た。
ただしその分、物理的な敵−−攻撃ヘリや遠距離狙撃手、リガーなどに対しては圧倒的に非力であり、パーティーのバックアップなしにはその能力を十全に発揮し得ない弱点を抱える。*6
新約ではないので、どうしても旧約とつけたくなってしまう旧版・魔獣の絆より。忘れてるだろうとの指摘を受けたキャラ3号である。
猪狩椎奈と言う吸血鬼なのだが、吸血鬼としての、と言うか魔物としての業を「闇のみくるみ12レベル」以外、一切持っていないと言う専守防衛キャラ。何と武器すら持っていないと言う徹底振りで、全ての能力をパーティーメンバーを守る事に振り向けていた。
と言うか、はっきり言って単なるカブトである(笑)。
ではそろそろ仕事に復帰するので、本日はここまでに。
ルーツ解析
考えをまとめるための雑文として書いているこのblogにも、どうも結構来てくれている方がおられるようだ。大変嬉しい事である。
さて、そうならばそれなりに書かねばならないという気にもなる。
しかし考えをまとめる−−本業の補助として書いている文であるからには、やはりそのラインで構成するのがスジという物だ。……と言うわけで、引き続き自分のルーツについて考えてみる事にした。
初日の日記で述べたように、ルーツとは別に血のそれを指すだけの言葉ではない。今の自分を形成するに至る重要な過程、要素。それら全てがルーツと言いうるだろう。
その中で、初日も言及し、本日もまた言及したい重要なルーツが、山田ミネコ−−特にそのライフワークとも言える代表作「最終戦争伝説シリーズ」である。
- 作者: 山田ミネコ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
アフメット王国物語や花咲く帝王の樹々シリーズによって他の山田ミネコワールドともリンクしたこの巨大な世界観は、1975年から書き続けられた総数500(http://lala.zive.net/Comics_Room/yamada_mineko.html)を遙かに超える長編、短編によって構成される複合的物語だ。
話の基軸となるのは、2296年に勃発する最終戦争である。
最終戦争の原因は、遙かな宇宙から来襲し、今はアステロイドベルトと化した草星や火星、金星を同じく最終戦争へと導いて破滅させた侵略者デーヴァダッタ(妖魔)だった。女に取り憑き、寄生する事で不老不死と超能力をもたらし、男たちの生気を喰らう美しき吸血鬼。
そのデーヴァダッタと戦うソマの戦士や、その侵略者から人々を守らんとするパトロールなどが各エピソードの主人公として描かれており、時には時間や場所のみならず、次元世界をも超えて話は膨らんで行く。
面白いのは、この話が「デーヴァダッタと人の戦い」の一語でくくりきれない所にある。基軸としてあるストーリーはそうなのだが、シリーズの重要エピソードである「パトロールシリーズ」は最終戦争から500年後の世界を舞台に、タイムパトロールである西塔小角が時間犯罪者と戦う話であるし、一見して最終戦争と関わりないかに見える「ふふふの闇」
- 作者: 山田ミネコ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2003/02
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
個々に魅力的な話が縦横無尽にクロスオーバーし、イレギュラーな要素とイレギュラーな要素が手を組んで、更なるイレギュラーと戦うと言うのが山田ミネコワールドの他にない魅力と言えるだろう。
作中で最も古いエピソードは、同人小説で発表された何と紀元前1000万年前の火星と金星の最終戦争の話。これに1970年代から80年代を中心とする数多くの現代物のシリーズがあり、2760年代のパトロールシリーズ、物語の中核を為す3500年代のソマ王伊都原永都を中心としたシリーズなどがある訳だ。
おまけに3500年代のシリーズの登場人物である、小鷹星夜は異世界を舞台にした小説「花咲く帝王の樹々シリーズ」に遙か未来の姿として登場している始末。
タイムマシンにより時間という枠より解放され、さらに遙かな長寿を誇る人々や血液交換不老法、不死のデーヴァダッタの存在から宇宙規模で距離の問題すら度外視される上に、次元間の移動まであり得るこのコンプレックスの全貌を把握するのは、並や大抵ではない。
だが、だからこそ私は蓬莱学園やスタートレック、WoDのような巨大複合世界観を愛しているのだろうし、壮大なスケールの作品という奴の感覚が他人からかなりずれているのだろう。
何しろ、山田ミネコワールドには全てがあると言っても過言ではないのだ。
日常の些細なケンカや幼なじみの愛情、つまらないけれど当人にとっては重要な悩み、家庭の相克。
世界を揺るがす大いなる危機に、文明の崩壊、星々の終焉、破滅した世界。
絶望から人々を守ろうとする勇気、大切なものを失った物の慟哭、深く激しい愛。
尋常ではない食欲と間抜けなリアクションを返してくる偉いのか偉くないの判然としない愉快なキャラクター、凛々しい女性とたおやかな少女。
何処か一部を切り取るだけでも大変な作業である。
いつか生活に余裕ができ、人脈なども出来上がって、好きな事を何か1つやってご覧と言われる日が来たら、やってみたいのは間違いなくこの山田ミネコワールドの集大成だと断言できる。
商業出版のみならず、同人作品まで集めた上での山田ミネコ・コンプレックス。是非ともやってみたい仕事であり、同時にどうしても読みたい代物である事は、言うまでもない。
何せ先も言ったように、私もこの作家の全貌は把握し切れていないのだ。
物語の原型
「オリジナリティなど、シェイクスピアの時代に滅び去った」
遙か昔に読んだある作品に登場した文だが、同時に今では私の口癖でもある。
この言葉に表現されるように、今さら完全なるオリジナリティ−−独自性という言葉は空しい存在なのではないかと私は思う。
そもシェイクスピアの時代にまで下るまでもなく、人類の歴史は推測される範囲で約7千年。それ以前のもはや考古学的に実証不可能な、文字や遺跡すらない遙かな過去から、人々は“物語る”と言う行為を行ってきた。
その行為は、それこそ何千万回、何千億回となく繰り返されてきた物だろう。
我々人類はその全てがミトコンドリア・イヴ*1の子孫である訳だが、おそらくはそのイヴの時点でさえ、既に無数の物語が“物語られ”ていたに違いない。そうした物語は、人類の拡散に従ってそれぞれの民族に伝えられ、伝えられた物語はその民族の中でさらに変化し、要素を付け加えられ、そして交易や交流と共に伝播していった。
神話や伝説、民間伝承や童歌、賛歌、詩歌などは、そうした“物語の原型”とも呼ぶべき存在と言えるだろう。
言ってしまえば、人類全体が「面白い」と感じる「物語」の基本ラインは、この時点で既に完成しているのである。後は語り手の力量や状況に合わせた工夫の領域に他ならない訳だ。
だが、「面白い」と感じる「物語」のラインが完成しているからと言って、そこで“物語る”と言うことの意味が終わった訳でもない。
何故なら、如何に面白かろうと同じような物語を聞き続ければ、人は“飽きる”からだ。この“飽き”を回避するために、「物語」は常に“新鮮さ”という要素を必要不可欠としてきた訳である。
しかし、これが難しい。
はっきり言ってしまえば、人が「面白い」と感じる要素は、さっきも言ったように既に出揃っている。逆を言えばこれから離れると言うことは、「面白くない」のだ。
だが、そのラインに沿うだけでは、ありがちであるとして“飽き”られる−−詰まらないと認識される訳だ。
言うなれば現在、“物語る”という行為はこの“物語の原型”の中にある「面白い」と言う要素と、その中に含まれない“新鮮さ”とをどうブレンドするかにかかっていると言っていいだろう。*2
オリジナリティという言葉にこだわる時、どうも人はこの事を忘れる傾向がある。
先に述べたように、全く新しい概念など存在しない。
いやより正確には存在するが、それをその概念を産み出した人間以外が、「面白い」と感じる状況はマレである。よしんば時代が下り、その概念が多くの人に受け入れられ、「面白い」と認識されるようになったならば、それは新たな“物語の原型”として確立したと言う事だ。*3
つまり「完全にオリジナル」と言う「物語」が仮にあるとしたら、それは「面白くない」のだと言うことを覚悟せねばならない−−いや、当人にとってはこの上なく面白いのかも知れないが。
さて、ここまで来ればお分かりだろう。
「物語」はウィスキーのような物だ。*4幾つもの「面白い」をブレンドし、そこに少しの“新鮮さ”−−誤解を恐れず言うなら「面白くない」−−を混入することで、人を酔わせる美酒として完成する。
「面白い」だけでは“飽き”られる。
だが、“新鮮さ”だけでは「面白くない」のだ。
全く新しい酒など、美味くも何ともない。そこに伝統の深みを加えてこそ、極上の美酒となると言う訳である。
*1:現存する人類全ての、母系によってたどれる“最初の母”。体細胞内のミトコンドリアの遺伝子を確認することで、存在が実証された「人類全体の共通の先祖」である。
*2:別のバリエーションとしては、“物語の原型”の中にある要素をクロスオーバーさせるという手もあるが、これも既に結構使われていて、原型化していると考えて良い。
*3:多くの人々が、自分こそがそうした新たな“物語の原型”を確立するのだと意気込むが、何故か往々にして最初はそれが「面白い」と認識され得る筈がないと言う事を失念する。今までにない物を産み出すと言うことは、自らを他の者が認識する既知の世界から放逐する行為に他ならないことを、どうして忘れるのだろう?
*4:日本で飲まれるウィスキーの多くは、モルト原酒とグレーン原酒をブレンドして作られる。このモルト原酒とグレーン原酒自体も、普通は複数種類の原酒をブレンドして作る。ウィスキー研究家の稲富孝一氏は「味噌汁にたとえるならば、ダシはグレーン、味噌はモルトということになるんです」と語っている。